エアバッグの欠陥で大量リコール問題を起こした、大手自動車部品メーカのタカタが、2017年6月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請、受理され、経営破綻となりました。
負債総額は1兆円を超えるといわれ、製造業では戦後最大規模となりました。
タカタは、中国企業の「寧波均勝電子」傘下のアメリカ自動車部品メーカKSS(キー・セイフティー・システムズ)に資産/事業を譲渡することになっています。
タカタといえば、シートベルトで有名ですが、チャイルドシートを使っていたので思い入れがあるのでとても残念ですね。
ところで、タカタが申請した「民事再生法」とはいったい何なのでしょうか?
また、再生を支援するKSSの親会社・寧波均勝電子とどんな会社なのでしょうか。
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民事再生法とは?
1992年12月に成立、2000年4月に施行された「法的整理」手続きのひとつ。
大企業を想定した会社更生法に比べ、中小企業向けに使われることが多い。
裁判所の監督のもと、強制力を持つ形で債権者の利害を調整し、破綻企業が負う債務の削減をすすめる。債権者の合意にもとづく「私的整理」に比べ、透明性が高いとされる。出典:朝日新聞「キーワード」ほか
説明の中に、「会社更生法」とあるので、「会社更生法」も一緒に見ておきましょう。
再建の見込みのある株式会社について、事業の見直しや再建を目的に行われる手続き。申し立てに基づいて裁判所が、弁護士らからなる保全管理人や監督委員を任命。保全管理人らが調査し、会社更生の意見書を裁判所に提出する。裁判所は、会社更生手続きの開始決定に伴い、改めて管財人を任命。管財人は今後の弁済計画と事業計画をまとめた更生計画案を裁判所に提出。債権者らの議決を経て裁判所が認可決定する。
出典:朝日新聞DIGITAL「関連キーワード」
会社更生法は、会社再生法に比べ、かなり厳格で、かなり時間がかかるようですね。
タカタは当初、企業イメージが傷つきにくい私的整理で再建を目指していたようです。
しかし、リコール費用を負担している自動車メーカ各社は、公平に負担額を確定させ、責任の所在が明確になる法的整理を強く求めた結果、「会社再生法」となりました。
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先に説明した「会社再生法」や「会社更生法」は法的整理と言われています。
タカタが当初進めようとしていた「私的整理」とはいったい何でしょうか?
「私的整理」とは、
経営破たんしたしそうになった場合に、債権者と債務者の間で資産負債の整理について協議を重ね、清算・再建に向けた処理方針を決定、進めていくことをいいます。
この一環の手続きは非公開に進めることができ、手続きを早めることができるという利点があります。
でも非公開ですから透明性は失われますね。
不透明な部分を関係者が嫌がり、法的整理になったんですね。
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KSS社の親会社・寧波均勝電子とは?
寧波均勝電子は、2004年創業の中国自動車部品メーカで、2016年は売上約3,000億円にのぼっています。
2008年にはVolkswagenのTier1サプライヤーとなり、今では米のGM、フォードそして独のメルセデス・ベンツ、Audi、BMWのグローバル・サプライヤーになっています。
ということは、技術面では優れているということになりますね。
2011年から次々に海外企業を買収し、取扱製品を拡大しています。
そして今回、2016年に買収した米・ミシガン州スターリングハイツに本社を構えるKSS社を通じて、タカタ(ブランド)の再建をはかることになりました。
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まとめ
タカタのエアバッグが原因の死亡事故がはじめてアメリカで発生したのが2009年。
調査を進めるも原因が特定できず、時間ばかりが経って、企業イメージを悪くしました。
ここ3年は大幅な赤字続きで、経営破たんは時間の問題と言われていました。
とうとうこの日を迎えてしまいました。わかっていたこととはいえ、とても残念です。
譲渡されたKSKで事業を継続する予定とのこと。
それにしても譲渡額が1,750億円とは安すぎませんか?
寧波均勝電子社はいい買い物をしたのではないでしょうか。
積み上げてきた技術力・ノウハウの価格とは思えませんね…
でも、ぜひ「TAKATA」のブランドを残し、復活を願いたいと思います。
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