9月12日、内閣府の有識者検討会が年金に関する提言の骨子案をまとめたものを発表しました。
その中の「公的年金の受給開始年齢を70歳」という言葉が一人歩きして、開始時期が65歳から70歳に引き上げられると勘違いする人が少なくありません。
実際には受給開始時期を70歳より後にすることができる、ということを提言しているため、みんなの受給時期をずらす訳ではありません。
では一体どういうことなのか、詳しく見てみましょう。
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現行制度での受給開始時期
現在の制度では、受給開始年齢は原則65歳。
ただし、申請により、開始時期を60~70歳の間で選ぶことができます。
支給開始時期を早めると、1か月あたり0.5%減額、遅らせると0.7%分増額となります。
例えば、早くすれば受給額が最大で30%減り、遅くすれば最大42%増えます。
早見表を載せておきますね。
繰り上げ受給の場合
請求時の年齢 減額率
60歳0ヵ月~60歳11ヵ月 30%~24.5%
61歳0ヵ月~61歳11ヵ月 24%~18.5%
62歳0ヵ月~62歳11ヵ月 18%~12.5%
63歳0ヵ月~63歳11ヵ月 12%~6.5%
64歳0ヵ月~64歳11ヵ月 6%~0.5%
繰り下げ受給の場合
請求時の年齢 増額率
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月 8.4%~16.1%
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月 16.8%~24.5%
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月 25.2%~32.9%
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 33.6%~41.3%
70歳0ヵ月~ 42%
これを75歳まで引き延すと、84%になります。2倍近くなりますね。
ただ、平均寿命が延びているとはいえ、判断が難しいところです。
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見直しの背景
年金制度が破綻?しかけているという現状に加え、少子高齢化にともない、労働力人口が減っていて、高齢者もできるだけ働き続けて欲しい、という考えが背景にあります。
国としての出費を抑え、できるだけ納税して欲しいということでしょうね。
しかし、現行制度でも受給年齢を遅らせる人は、全体の1.4%(2015年)とかなり低い割合です。
現役時代の貯蓄次第でしょうか。
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まとめ
いかがでしたか、少しは安心できましたか?
政府はこの提言をもとに、2017年末までに高齢者施策の指針である「高齢社会対策大綱」改定案を閣議決定するとのこと。
なんだか決まりそうな勢いですね。
しかし、安心もしていられません。
受給開始時期が60歳から65歳に引き上げられた後も年金制度は改善されていません。
受給開始時期の再見直しが来るのもそんなに遠い先ではないのではないでしょうか?
そうなるとますます、年金未納者が増え、…負のスパイラルにはまります。
自民党の小泉進次郎議員が提言する、「年金返上」も制度化して、財源の健全化も同時に議論して欲しいですね。
子育て支援の財源かどうかは別ですが。
何か自衛策を講じないと…
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